近年、多種多様の洗浄剤が使用され、さまざまな健康被害を起こしています。洗浄剤の主要成分は、洗浄と乳化作用をもつ界面活性剤です。界面活性剤の健康被害は経験的に認められていましたが、代替品がないとして黙認されてきた面があります。
1.界面活性剤は頭皮トラブルの原因
◎薄毛の要因
薄毛の要因の1つは、頭皮と毛根細胞が老化して、抜け毛が増えたり、髪の成長が止まることで起こります。わたしたちは、シャンプーなどに使用される界面活性剤が頭皮や毛根細胞を老化させることを発見しました。つまりシャンプー/トリートメントが薄毛の原因の1つになっていると考えられます。
界面活性剤以外にもシャンプー/トリートメントに含まれている保湿剤、コンディショニング成分、防腐剤、基材などによる細胞ダメージも無視できません。
◎界面活性剤の構造

一般的な界面活性剤は油になじみやすい「疎水基(脂肪酸)」と水になじみやすい「親水基」の二つの部分をもちます(図1)。
この構造が水と油のように混じり合わない物質を混ぜ合わせ、髪や頭皮についた汚れを洗い落とします。
界面活性剤には多くの種類があります。構造と性質の違いにより、以下のように分類されています。
2.起泡力(泡立ち)と洗浄力
◎起泡力の原理

通常、界面活性剤は安定した泡を形成します。それは水の表面張力を低下させる
からです。疎水基が気相面に、親水基が水相面に整列して、泡の構造を安定化させます(図2)。直鎖状の界面活性剤は泡を作りやすいです。親水基が帯電していると互いに反発し、泡の安定性を高めます。
◎洗浄の原理
界面活性剤の洗浄力は、固相(汚れ)と水相の界面の活性化能力に依存します。疎水基が皮膚や毛髪に付着した汚れの中に入り込み、親水基が汚れを遊離させます(図3)。
◎洗浄力の測定
代表的な界面活性剤といくつかの市販シャンプーについて洗浄力試験を行いました。スライドグラスに油を塗布し、界面活性剤溶液に中に設置します。溶液をゆるく回転させ、一定時間で油が完全に落ちる界面活性剤の濃度を測定しました。洗浄力が強いほど濃度が低くなります。
洗浄力と起泡力(泡立ち)を比較した結果、両者は相関しませんでした。つまり泡立ちと汚れ落ちは関係ないという結果でした。
3.細胞毒性試験
◎試験方法
ヒトの線維芽細胞または表皮角化細胞をシャーレに植え込み、試料を30分間作用させました。その後、通常培地で2週間培養し、細胞を青く染色しました(図4)。


◎試験結果
界面活性剤(50種類以上)、コンディショニング&トリートメント成分(約70種以上)、シャンプー&トリートメント製品(50種以上)について細胞毒性試験を行いました。試験結果の一部を示します(図5)。

◎安全な界面活性剤
約150種のヘアケア成分を分析し、細胞毒性が極めて低い界面活性剤を発見しました。コロニー数を半分に減少させる濃度(ID50)で比較すると、細胞毒性は一般に使われている界面活性剤の100分の1以下ででした(図5)。
4.界面活性剤の毒性のメカニズム
◎細胞毒性のメカニズム
私たちは界面活性剤の細胞毒性を生じる分子機序を研究し、以下の成果を得ています。
◎安全な界面活性剤の特徴
一般的な界面活性剤は親水基と疎水基が直鎖状につながってます(図6)。この構造は起泡力(泡立ち)に優れていますが、細胞膜に強く結合し、強い細胞毒性を生じます。
一方、細胞毒性の弱い界面活性剤は大きくて複雑な親水基はもっていました。その代表であるポリソルベートは大きな立体構造をもっています。このため、起泡力が乏しく、細胞膜に効率はよく結合できませんでした(図6)。
これが細胞毒性が低い理由だと考えます。
5.細胞毒性の少ないシャンプーの開発
◎設計
私たちは一般に使用される界面活性剤と比較して、100倍以上細胞毒性が少ない界面活性を発見しました。これを用いて、細胞毒性が市販品の100倍以上安全なシャンプー/トリートメントを開発し、特許を取得しました(特許第7193108号)(図7) 。
また使用感や毛質の改善のために使用した補助成分も全て分析し、可能な限り安全な高機能成分を配合しました。
◎細胞毒性と皮膚炎症試験
市販のシャンプー&トリートメントは例外なく強い細胞毒性を示しました。また皮膚に塗布すると、炎症や毛髪形成阻害を起こしました。
シャンプーなどに使用される界面活性剤が頭皮や毛根細胞を老化させ、薄毛の原因の1つになっていると考えられます。
そこで、わたしたちは約100種類の界面活性剤の細胞毒性試験を行った結果、シャンプーやトリートメントに広く使用されている泡立ちの良く、トリートメント効果が強い界面活性剤が、毛髪形成細胞に大きな悪影響を及ぼしますことを発見しました。結局、人体に悪影響が少なかったのは、“泡立ちが少ない界面活性剤”でした。この発見で頭皮に究極にやさしいシャンプーを開発することができました。
今回、開発した低毒性シャンプーは、細胞毒性や皮膚障害が極めて少なく、頭皮や毛髪トラブルを大幅に改善できると考えています。非科学的な「泡」信仰を是正し、安心安全なシャンプー/トリートメントを広めたいと思っています。
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